SUN(^_^)D「抗うつ薬の最適使用戦略を確立するための多施設共同無作為化試験」パイロットトライアルが発表

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2012/06/28

 



わが国のうつ病診療はここ十数年の間に大きく変化した。さまざまな新規抗うつ薬が登場し、急増するうつ病患者に対しどのような治療指針で診療に取り組むべきか議論がなされている。このような中、京都大学 古川氏を主任研究者とする「抗うつ薬の最適使用戦略を確立するための多施設共同無作為化試験-SUN(^_^)D 」プロジェクトが実施されている。本研究の実現の可能性およびアドヒアランスを調査するためのパイロット調査の結果を共同主任研究者の一人である高知大学の下寺氏らがTrials誌オンライン版2012年6月8日付で発表した。

2010年より実施されたSUN(^_^)Dプロジェクトは、単極性大うつ病 の急性期治療について、ファーストラインおよびセカンドラインでの抗うつ薬の最適治療戦略を確立することを目的とした25週間の多施設共同無作為化試験である。SUN(^_^)Dプロジェクトの目標症例は2,000例、主要評価項目はこころとからだの質問票(PHQ9)を用い評価する。

今回の報告では、本研究を円滑に進めるため、実現性やアドヒアランスに関してパイロット調査にて検証を行った。2010年12月から2011年7月の間に受診した初診患者2,743例中、本研究への参加が適切であると判断された382例のうち、書面によるインフォームドコンセントに同意した軽症から非常に重症なうつ病患者100例を対象とした。

主な結果は以下のとおり。

・2011年7月末までに本研究開始後3週目に達した93例中、主要項目の評価が可能であった患者は90例(96.8%)であった。
・本研究開始後9週目まで達した72例のうち、70例(97.2%)は十分な面談が可能であった。
・最終25週目に到達した32例中、29例(90.5%)はフォローアップ可能であった。
・主要評価項目の信頼性はほぼ問題なく、無作為化も確認された。
・プロトコールの若干の変更と明確化が必要であると考えられる。

(ケアネット 鷹野 敦夫)

関連医療ニュース
 ・うつ病治療におけるNaSSA+SNRIの薬理学的メリット
 ・うつ病治療“次の一手”は?SSRI増量 or SNRI切替
 ・職場におけるうつ病患者に対し電話認知行動療法は有効か?