内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:250

急性・慢性心不全診療―JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版発表 /日本循環器学会

 3月26~28日に開催された第85回日本循環器学会学術集会のガイドライン関連セッションにおいて、筒井 裕之氏(九州大学循環器内科学 教授)が「2021年JCS/JHFSガイドラインフォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」を発表した。本講ではHFrEF治療に対する新規薬物の位置付けに焦点が当てられた。  今回のアップデート版は2017年改訂版を踏襲している。まず、筒井氏はアルゴリズムの仕様の変更点について説明。前回の治療アルゴリズムでは、薬物治療と非薬物治療を明確に分けず疾患管理や急性増悪時の対応が不十分であった。これを踏まえ、「薬物治療と非薬物治療を明確に分け、薬物治療から非薬物治療へ移行する際に薬物治療が十分に行われていたかどうかを確認する。疾患管理はすべての心不全患者に必要なため、緩和ケアを含め位置付けを一番下部から上部へ変更し、急性増悪した際には急性心不全のアルゴリズムに移行することを追記した」と話した。

ワクチン接種の経済価値は10年間で50兆円―英国調査

 COVID-19ワクチン接種による集団免疫獲得は経済にどのような影響をもたらすのか。英国において年齢構造化感染モデルと経済モデルを使った試算が行われた。The Lancet Infectious Diseasesオンライン版3月18日号掲載の報告。  研究者らは、今後10年間に渡る英国のワクチン接種プログラムについて、さまざまなシナリオを検討した。

COVID-19施設内感染対策案を発表/日本感染症学会

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診療では、医療機関の施設内感染対策は重要な課題である。実際、院内感染によるクラスターの発生により通常の診療ができなくなった医療機関も全国に存在する。  こうした状況を鑑み、日本感染症学会(理事長:東邦大学医学部教授 舘田 一博氏)は、3月29日に「COVID-19施設内感染アンケート調査を踏まえた施設内感染対策案」を同学会のホームぺージで発表、公開した。  本対策案では、263施設(追加288施設)にアンケートを行い、実際に施設内伝播のあった42施設の回答をまとめた。この回答結果から反省点や今後の対策が示唆されている。

うつ病に対するプロバイオティクスの有効性、安全性

 プロバイオティクス(腸内細菌叢)は、脳腸軸の活性を通じて、気分障害や不安症に関連する症状を改善することが、多くの研究で報告されている。しかし、治療歴のないうつ病患者を対象としてプロバイオティクスの効果を検討した試験は行われていなかった。カナダ・クイーンズ大学のCaroline J. K. Wallace氏らは、治療歴のないうつ病患者10例を対象にプロバイオティクス投与前後の抑うつ症状の変化を調査するため、8週間オープンラベル試験を実施した。Frontiers in Psychiatry誌2021年2月15日号の報告。

新型コロナワクチン、予診票で確認すべきポイントは?/厚労省

 4月12日以降に予定されている高齢者への新型コロナワクチン接種開始を前に、厚生労働省は3月26日、新型コロナワクチン「予診票の確認のポイント」を公開した。予診票記載の14項目について接種前に確認すべき点がまとめられている。事務職員が確認可能な項目、最終的に医師の確認が必要な項目についても整理されている。  予診票には、「現在何らかの病気にかかって治療(投薬など)を受けていますか」という問いが設けられ、抗凝固薬(血をサラサラにする薬と表記)の利用状況を問う項目が設けられている。確認ポイントとしては、とくに以下に該当するかに注意して接種の判断をするよう求めている: ・基礎疾患の状態が悪化している場合や全身状態が悪い場合  体調が回復してから接種することが大切なため、体調が悪いときの接種は控える。体調がよくなった頃に、改めて次の接種を相談するよう説明する。接種後の軽度の副反応が重篤な転帰に繋がることのないよう、とくに慎重に予防接種の適否を判断する必要がある。

若年者の肥満・高血圧、心不全発症リスクへの影響は?/BMJ

 若年者のほうが高齢者と比較して、心不全発症率および絶対リスクは低いが、リスクとの関連性が強く、修正可能な絶対リスクのリスクへの寄与が高いことが示された。シンガポール国立心臓センターのJasper Tromp氏らが、フラミンガム心臓研究などの参加者を対象としたプールコホート研究の結果、明らかにした。若年者のほうが高齢者と比べて心不全発症率が低いことは知られているが、年齢差を考慮したリスク因子との関連に関する研究はほとんど行われていなかった。先行研究では、電子健康記録を用いた研究で、心不全を含む12の心血管疾患発症と血圧上昇との相対リスク低下が認められたことや、心不全患者を対象とした研究で、若年患者(55歳以下)は肥満、男性、糖尿病既往者で多くみられることは報告されていた。今回の結果について研究グループは、「成人への生涯にわたる予防介入の重要性を浮き彫りにしている」と述べている。BMJ誌2021年3月23日号掲載の報告。

降圧治療と副作用:システマティックレビューおよびメタ解析(解説:石川讓治氏)-1370

高血圧は心血管イベント発症のリスク増加と関連し、降圧治療が心血管イベント発症を抑制することが報告されている。STRATIFY研究グループのメンバーは、降圧薬の介入試験や大規模観察研究の結果のシステマティックレビューとメタ解析を行い、降圧治療は全死亡、心血管死亡、脳卒中の発症抑制と関連し、降圧治療の副作用としては、転倒のリスク増加とは有意な関連がなく(1次評価項目:リスク比1.05、95%信頼区間0.89~1.24)、2次評価項目である急性腎障害(リスク比1.18、95%信頼区間1.01~1.39)、高カリウム血症(リスク比1.89、95%信頼区間1.56~2.30)、低血圧(リスク比1.97、95%信頼区間1.67~2.32)、失神(リスク比1.28、95%信頼区間1.03~1.59)といった副作用のリスク増加と関連していたことを報告した1)。Bromfieldら2)の以前の研究においても、降圧治療中の転倒のリスクは血圧レベルよりもフレイルの存在やポリファーマシーと関連していたことが報告されており、本研究のメタ解析においても降圧治療は転倒のリスク増加と関連していなかったことが再確認された。

COVID-19ワクチン接種の準備状況は?医師アンケート

 有効な対応策が打ち出せない新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対し、ワクチンの接種は重症化や死亡の予防に期待がもたれている。わが国でも2月から医療従事者にCOVID-19ワクチンの接種が行われている。  今後、一般向けに接種が拡大する中で、クリニックや病院などの医療機関ではどのような準備をし、どころからワクチンに関する情報を入手しているのか、3月11日にCareNet.comはWEBアンケートで会員医師500名にその現況を調査した。アンケートでは、0~19床と20床以上に分け、4つの質問に対して回答を募集した。

武漢の新型コロナ抗体陽性率は約7%/Lancet

 中国の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)アウトブレイクの発生地である武漢市において、無作為抽出した住民のSARS-CoV-2抗体陽性率は6.92%で、このうち39.8%が中和抗体を保有していた。中国・武漢疾病管理予防センターのZhenyu He氏らによる血清疫学調査の結果、明らかとなった。調査は、ワクチン接種戦略の進展に役立てる目的で実施したものだという。著者は、「今回の結果は、再流行を防ぐためには集団免疫をもたらす集団ワクチン接種が必要であることを示唆している」とまとめている。Lancet誌2021年3月20日号掲載の報告。

新型コロナワクチン、12~15歳に100%の有効性/ファイザー・BioNTech

 米国・Pfizerとドイツ・BioNTechは3月31日、両社の新型コロナウイルスワクチン(BNT162b2、商品名:コミナティ筋注)の12~15歳の青年を対象とした第III相試験で、以前報告された16~25歳を対象とした試験結果を超え、100%の有効性と強力な抗体反応を示したという速報をプレスリリースで発表した。両社は、米国食品医薬品局(FDA)および欧州医薬品庁(EMA)に緊急使用許可を申請する意向を示している。  本試験には、米国で12~15歳の青年2,260例が登録された。結果は、プラセボ群(1,129例)で18例の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が観察されたのに対し、ワクチン接種群(1,131例)では観察されなかった。また、ワクチン接種は、SARS-CoV-2中和抗体の幾何平均抗体価(GMT)1,239.5を誘発し、2回目の投与から1ヵ月後のサブセットで強い免疫原性を示した。これは、以前の分析で16~25歳の参加者に誘発されたGMT(705.1)に劣っていなかった。さらに、副反応は16~25歳の参加者で観察されたものとおおむね一致しており、良好な忍容性が示された。すべての参加者は、2回目の投与後さらに2年間、長期的な予防効果と安全性について引き続き観察される。