血液内科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

CAR-T療法ide-cel、多発性骨髄腫の早期治療に承認の意義/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは、2023年12月に同社のCAR-T細胞療法イデカブタゲン ビクルユーセル(ide-cel、商品名:アベクマ)が、再発または難治性の多発性骨髄腫の早期治療に承認されたことを受け、2024年1月31日にメディア向けプレスセミナーを開催した。セミナーでは日本赤十字社医療センター・血液内科の石田 禎夫氏が「早期ラインとしての CAR-T 細胞療法(アベクマ)が多発性骨髄腫 (MM) の治療にもたらすもの」と題した講演を行い、新たな承認が臨床に与える意味について解説した。  多発性骨髄腫は抗体を産生する形質細胞ががん化し、骨病変、腎障害、免疫不全などを引き起こす疾患。10万人当たり6.2人(2017年)が罹患。高齢者に多い疾患で、高齢化に伴い患者数は増加傾向にある。

骨髄異形成症候群に伴う貧血にルスパテルセプト承認/BMS

 ブリストル・マイヤーズ スクイブは2024年1月18日、ルスパテルセプト(商品名:レブロジル)について、骨髄異形成症候群(MDS)に伴う貧血を効能又は効果として、厚生労働省より製造販売承認を取得した。  ルスパテルセプトは、赤血球成熟促進薬として造血幹細胞から赤血球への分化過程の後期段階における分化を促進し、成熟した赤血球数の増加を誘導する新規作用機序の治療薬である。  今回の承認は、低リスクMDS患者を対象とした国際共同第III相試験(COMMANDS試験)、海外第III相試験(MEDALIST試験)、および赤血球輸血非依存の低リスクMDS患者を対象とした国内第II相試験(MDS-003試験)の結果にもとづいている。これらの試験から、レブロジルは赤血球造血刺激因子製剤の治療歴の有無ならびに赤血球輸血依存・非依存に関わらず、低リスクMDS患者の貧血の治療として、臨床的意義の高い効果を示した。安全性については、いずれの試験でも低リスク MDS 患者に対して忍容性があり、 十分に管理可能な安全性プロファイルであることが示された。

ハイゼントラ、プレフィルドシリンジの剤形追加承認を取得/CSLベーリング

 CSLベーリングは1月22日付のプレスリリースで、人免疫グロブリン製剤「ハイゼントラ20%皮下注」について、新剤形としてプレフィルドシリンジ製剤に対する医薬品製造販売承認を取得したことを発表した。  ハイゼントラは、効能・効果として2013年9月に「無又は低ガンマグロブリン血症」が承認され、2019年3月には「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)」が追加された。2023年12月時点で米国、欧州を含む67以上の国と地域で承認されている。

経口PNH治療薬ボイデヤ、C5阻害薬との併用で製造販売承認を取得/アレクシオン

 アレクシオンファーマは1月19日付のプレスリリースで、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の治療薬として、経口補体D因子阻害薬ボイデヤ(一般名:ダニコパン)の製造販売承認を取得したことを発表した。本剤の効能または効果は「発作性夜間ヘモグロビン尿症」であり、「補体(C5)阻害剤による適切な治療を行っても十分な効果が得られない場合に、補体(C5)阻害剤と併用して投与すること」としている。  PNHは、血管内溶血(IVH)として知られる血管内の赤血球破壊を主な病態とする重度の希少血液疾患であり、臓器障害や早期死亡に至る可能性がある。

デキサメタゾン製剤、アセタゾラミドなどに「重大な副作用」追加/厚労省

 厚生労働省は1月10日、アセタゾラミドやデキサメタゾン製剤などの添付文書について、使用上の注意改訂指示を発出した。炭酸脱水酵素阻害薬のアセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウム(商品名:ダイアモックス)には重大な副作用として「急性呼吸窮迫症候群、肺水腫」が、デキサメタゾン製剤(経口剤および注射剤)や副腎皮質ホルモン製剤(経口剤および注射剤)のうちリンパ系腫瘍の効能を有する製剤には重大な副作用として「腫瘍崩壊症候群」が追加された。  急性呼吸窮迫症候群および肺水腫関連の症例を評価した結果、アセタゾラミド、アセタゾラミドナトリウムと急性呼吸窮迫症候群および肺水腫との因果関係が否定できない症例(国内11例のうち9例、海外6例のうち4例。死亡例は国内3例、海外1例)が集積したため。

高校生のがん患者に必要な教育支援とは? 1月13日セミナー開催

 神奈川県立こども医療センターが、同センターの小児がん相談支援室主催にて、高校生のがん患者の教育支援に関するセミナーを開催する。  「長期治療が必要な高校生の教育保障を考える2023~好事例から考える、それぞれの支援者ができること~」と題した本セミナーでは、高校生の教育保障をテーマに、医師、神奈川県教育委員会、高等学校教諭、高等学校学校長がそれぞれの立場から、事例や具体的な取り組みなどについて説明する。

CLLの1次治療、MRDに基づくアプローチが有望/NEJM

 未治療の慢性リンパ性白血病(CLL)の治療において、測定可能残存病変(measurable residual disease:MRD)に基づいて投与期間を最適化するイブルチニブ(ブルトン型チロシンキナーゼ[BTK]阻害薬)+ベネトクラクス(BCL-2阻害薬)療法はフルダラビン+シクロホスファミド+リツキシマブ(FCR)療法と比較して、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長し全生存期間(OS)も良好で、感染症のリスクは同程度であるものの心臓の重度有害事象の頻度が高かったことが、英国・Leeds Cancer CentreのTalha Munir氏らが実施した「FLAIR試験」の中間解析で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2023年12月10日号で報告された。

移植適応多発性骨髄腫の1次治療、ダラツムマブ上乗せでPFS延長/NEJM

 新規に診断された移植適応多発性骨髄腫患者において、ボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)の導入/地固め療法+レナリドミド維持療法へのダラツムマブ皮下投与上乗せにより、無増悪生存期間(PFS)が有意に延長した。オランダ・エラスムスMCがん研究所のPieter Sonneveld氏らが、欧州およびオーストラリアの14ヵ国115施設で実施された多施設共同無作為化非盲検第III相試験「PERSEUS試験」の結果を報告した。ヒト型抗CD38モノクローナル抗体のダラツムマブは、多発性骨髄腫に対する標準的な治療レジメンとして承認されているが、新規診断の移植適応多発性骨髄腫患者におけるダラツムマブ皮下投与とVRd併用療法の評価が求められていた。NEJM誌オンライン版2023年12月12日号掲載の報告。

肥満手術で造血器腫瘍リスクが長期にわたって低下

 肥満が2型糖尿病や心血管疾患などの重篤な合併症と関連することは知られているが、肥満が悪性腫瘍の危険因子であることも明らかになってきた。肥満患者へ肥満手術を行うことでがんの発症リスクが低下するとされるが、新たな研究により、肥満手術が造血器腫瘍のリスクを低下させることが示された。スウェーデン・ヨーテボリ大学のKajsa Sjoholm氏らによる本研究の結果は、Lancet Healthy Longevity誌2023年10月号に掲載された。  本試験では、前向き対照Swedish Obese Subjects研究で、肥満手術を受けた人と通常の治療を受けた人の全死亡率を比較した。参加者はスウェーデン全土で募集され、組み入れ基準は年齢37~60歳、検査前または検査時のBMIが男性34、女性38以上であった。主なアウトカムは造血器腫瘍の発生率と死亡率で、悪性リンパ腫、骨髄腫、骨髄増殖性新生物、急性および慢性白血病を含む造血器腫瘍のイベントは、Swedish Cancer Registryから収集した。

低リスク骨髄異形成症候群、imetelstatが有望/Lancet

 赤血球造血刺激因子製剤(ESA)が無効または適応とならない、多量の輸血を受けた低リスク骨髄異形成症候群(LR-MDS)の治療において、テロメラーゼ阻害薬imetelstatはプラセボと比較して、赤血球輸血非依存(RBC-TI)の割合が有意に優れ、Grade3、4の有害事象の頻度が高いものの管理可能であることが、ドイツ・ライプチヒ大学病院のUwe Platzbecker氏らが実施した「IMerge試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年12月1日号で報告された。  IMerge試験は、17ヵ国118施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2019年9月~2021年10月に患者の登録が行われた(Janssen Research & DevelopmentとGeronの助成を受けた)。