産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:6

10代での妊娠とうつ病~JECS研究

 10代での妊娠は、さまざまな要因によりうつ病リスクを増加させる可能性がある。若年成人期の妊娠は、高齢期の妊娠と比較し、複数のうつ病リスク因子に影響を及ぼすと考えられる。しかし、若年成人期の妊娠におけるうつ病関連のデータは不足している。国立成育医療研究センターの石塚 一枝氏らは、10代および若年成人期の妊娠とうつ病との関連を調査した。その結果、10代および若年成人期の妊娠は、それ以降の妊娠と比較し、うつ病リスクが高いことが示唆された。Archives of Women's Mental Health誌オンライン版2023年11月22日号の報告。

妊娠糖尿病、インスリン+メトホルミン vs.インスリン単独/JAMA

 2型糖尿病を有するまたは妊娠初期に2型糖尿病と新規に診断された妊婦において、インスリン療法にメトホルミンを追加しても新生児の複合有害アウトカムは減少しなかった。米国・ノースカロライナ大学チャペルヒル校のKim A. Boggess氏らが、米国の17施設で実施した無作為化二重盲検第III相試験「MOMPOD試験」の結果を報告した。既往または妊娠初期に診断された2型糖尿病を有する妊婦には、インスリンの投与が推奨されるが、インスリンへのメトホルミンの追加により新生児の有害アウトカムが改善する可能性が示唆されていた。JAMA誌2023年12月12日号掲載の報告。  研究グループは2017年6月~2021年11月に、単胎妊娠10週0日~22週6日で2型糖尿病を有する、または23週より前にインスリンを必要とする糖尿病と診断された、18~45歳の成人女性を対象とした。施設、妊娠週数(18週未満、18週以上)、糖尿病診断時期(既往、妊娠初期)で層別化し、メトホルミン(1,000mg)群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付けた。全例がインスリンの投与を受け、それぞれ割り付けられた試験薬を出産まで1日2回経口投与した。

米FDA、クラミジアと淋病の自宅用検査キットの販売を認可

 米食品医薬品局(FDA)は11月15日、クラミジアと淋病の初の自宅用検査キットであるSimple 2 Testの販売認可をLetsGetChecked社に付与したことを発表した。この許可を受け、18歳以上の成人は、同検査キットをOTC医薬品として薬局で購入できるようになる。自宅で検体を採取する性感染症の検査法としてFDAに認可されたのは、HIV以外では初めて。  自宅での健康管理に焦点を当てたグローバルヘルスケアソリューション企業であるLetsGetChecked社は、Simple 2 Testを99ドル(1ドル148円換算で1万4,652円)で販売している。検査を受けたい人は、自宅で膣スワブ(クラミジア検査用)または尿(淋病検査用)を採取し、オンラインで健康に関する質問票に回答した上で、指定の検査機関に採取した検体を送る。同社によると、検査結果は2〜5日で、オンラインで通知される。検査結果が陽性または無効であった場合には、医療従事者がフォローアップすることになっている。

Hybrid closed loop(HCL)療法は1型糖尿病合併妊娠においても有効である(解説:住谷哲氏)

CGMが一般的になってTIR time in rangeも日頃の臨床でしばしば口にするようになってきた。TIRは普通70 -180mg/dLが目標血糖値とされているが、より厳格な血糖管理が要求される妊婦の場合は、これが63-140mg/dLに設定されている。1型糖尿病患者におけるHCL療法の有用性はほぼ確立されているが、1型糖尿病合併妊娠患者におけるエビデンスは、これまで存在しなかった。本試験によって、ようやくエビデンスがもたらされたことになる。HCLシステムはCGM、インスリンポンプおよびそれを統合管理するアルゴリズムから構成される。

臍帯結紮を遅らせることが早産児の救命につながる可能性

 早産児では、出産後に母子をつないでいるへその緒(臍帯)を固定した上で切断する「臍帯結紮(けっさつ)」を、出生の30秒後以後、なるべく遅らせて行うと、出生直後に臍帯結紮を行った場合と比べて退院までに死亡するリスクが低下することを示した2つの解析結果が、「The Lancet」に11月14日掲載された。これらの論文の筆頭著者で、シドニー大学(オーストラリア)のAnna Lene Seidler氏は、「われわれの解析結果は、臍帯結紮を遅らせることで一部の早産児の命を救える可能性を示した最良のエビデンスだ」と話している。

FRα高発現プラチナ抵抗性卵巣がん、FRα標的ADC MIRVがOS・PFS改善(MIRASOL)/NEJM

 葉酸受容体α(FRα)高発現プラチナ製剤抵抗性の高異型度漿液性卵巣がん患者において、mirvetuximab soravtansine-gynx(MIRV)は、化学療法と比較して無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)および客観的奏効率(ORR)を有意に改善したことが、米国・オクラホマ大学ヘルスサイエンスセンターのKathleen N. Moore氏らにより21ヵ国253施設で実施された無作為化非盲検第III相試験「MIRASOL試験」の結果で示された。MIRVは、FRα抗体に微小管阻害剤を結合させたFRαを標的とするファーストインクラスの抗体薬物複合体で、米国では2022年11月14日に「SORAYA試験」の結果に基づき、1~3レジメンの前治療のあるFRα高発現プラチナ製剤抵抗性卵巣がんの治療薬として、迅速承認されている。NEJM誌2023年12月7日号掲載の報告。

再発・進行子宮頸がん、アテゾリズマブ+ベバシズマブ+化学療法がOS・PFS改善(BEATcc)/Lancet

 転移、治療抵抗性、再発のいずれかを有する子宮頸がんにおいて、ベバシズマブ+プラチナ製剤を含む化学療法へのアテゾリズマブの上乗せは、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)ともに有意に延長することが、スペイン・バルデブロン腫瘍学研究所のAna Oaknin氏らが行った研究者主導の第III相無作為化非盲検試験「BEATcc試験」の結果で示された。転移のあるまたは再発の子宮頸がんに対しては、GOG240試験でベバシズマブ+化学療法が標準的な1次治療として確立されており、今回のBEATcc試験(ENGOT-Cx10/GEICO 68-C/JGOG1084/GOG-3030)ではこれに加えて免疫チェックポイント阻害薬の上乗せを評価した。結果を踏まえて著者は、アテゾリズマブの追加について「1次治療の新たな選択肢と見なすべきである」としている。Lancet誌オンライン版2023年12月1日号掲載の報告。

妊娠希望で乳がん術後内分泌療法を中断した患者、生殖補助医療の効果は(POSITIVE)/SABCS2023

 妊娠を試みるために術後補助内分泌療法を一時的に中断する早期HR+乳がん患者を対象としたPOSITIVE試験において妊孕性温存と生殖補助医療について評価した結果、乳がん診断時に胚・卵子を凍結保存し、内分泌療法中断後に胚移植した場合の妊娠率が高いことが示された。体外受精を受けた患者に乳がんイベントの増加はみられなかった。メキシコ・Monterrey Institute of TechnologyのHatem Azim氏がサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS2023)で発表した。

毎日のナッツ摂取は生殖能力を上げるか

 ナッツ類には、オメガ3系多価不飽和脂肪酸、食物繊維、ビタミン、ミネラル、ポリフェノールが豊富に含まれているため、定期的な摂取は健康に良いとされている。では、ナッツは生殖機能の改善にも貢献するのであろうか。オーストラリア・モナシュ大学栄養・栄養摂取・食物学科のBarbara R. Cardoso氏らの研究グループは、ナッツ類の摂取と生殖能力の系統的レビューおよびメタ解析を行った。その結果、栄養学的にナッツの摂取が生殖能力を高めることが示唆された。Advances in Nutrition誌オンライン版2023年11月17日号に掲載。

妊婦の不眠症に対する認知行動療法の有用性~メタ解析

 妊婦の不眠症を改善するために、第一選択治療として認知行動療法(CBT-I)を用いることは、有用である可能性がある。しかし、フォローアップ時における妊婦に対するCBT-Iのコンポーネント、方法、回数、有効性については、明らかになっていない。中国・香港大学のXingchen Shang氏らは、妊婦に対するCBT-Iの有効性を評価し、効果的な介入のためのコンポーネント、方法、回数を特定するため、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。その結果、妊婦に対するCBT-Iは、短期的な不眠症改善に有効である可能性が示唆されたものの、長期的な有効性は依然として不明なままであり、今後の長期フォローアップを伴う研究が必要であることを報告した。Sleep Medicine誌2023年12月号の報告。