産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:47

トラネキサム酸の分娩後出血予防は?/NEJM

 経膣分娩時にオキシトシンの予防的投与を受けた女性において、トラネキサム酸の併用投与はプラセボ群と比較し、500mL以上の分娩後出血の発生を有意に低下しなかった。フランス・ボルドー大学病院のLoic Sentilhes氏らが、トラネキサム酸の予防的投与追加による分娩後出血の発生率低下を検証した多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「TRAAP試験」の結果を報告した。分娩直後のトラネキサム酸の使用により、分娩後出血に起因する死亡率低下が示唆されているが、トラネキサム酸の予防的投与の有効性を支持するエビデンスは十分ではなかった。NEJM誌2018年8月23日号掲載の報告。

妊娠・授乳期のビタミンD投与は胎児・乳児に有益か/NEJM

 分娩前のビタミンD欠乏症や胎児・乳児の発育不全が広く認められる集団において、妊娠中期から分娩時までまたは分娩後6ヵ月まで、母体にビタミンDサプリメント投与を行っても、胎児や乳児の成長は改善されなかった。カナダ・トロント大学のDaniel E. Roth氏らが、バングラデシュで行った無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果で、NEJM誌2018年8月9日号で報告した。ビタミンD欠乏症が蔓延している地域において、妊娠中および授乳期の母体へのビタミンD投与が、胎児や乳児の成長を改善するかどうかは確認されていなかった。

そもそも術前リスク評価をどう考えるべきか(解説:野間重孝 氏)-891

循環器内科はさまざまな院内サービスを行っているが、その中でも最も重要なものの1つが、心疾患を持つ(もしくは持つと疑われる)患者が心臓外のmajor surgeryを受ける場合のリスク評価に対するコンサルトに答えることではないかと思う。この場合、大体の医師が心疾患による追加的なリスクをまったく考える必要のない群を最軽症とし、これは絶対に手術は無理というものを最重症として5段階評価を考え、それなりの文章を考えて回答している、というあたりが実情なのではないかと思う。

不妊治療と生殖器系がんリスクの関連は?/BMJ

 生殖補助医療を受けた女性の生殖器系がんのリスクは知られていない。英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのCarrie L. Williams氏らは、大規模な地域住民ベースのコホート研究において、生殖補助医療を受けた女性では子宮体がんや浸潤性乳がんのリスク増加はみられないものの、非浸潤性乳がんや浸潤性または境界悪性卵巣腫瘍のリスク増加が示されたとし、BMJ誌2018年7月11日号で報告した。若年時または複数回の治療サイクルを受けた女性は、乳がんリスク上昇の可能性があるとする研究がいくつかある。また、初期の研究では、卵巣がんのリスク増加が示唆されているが、近年の研究では、境界悪性卵巣腫瘍の増加に関して、一貫性はないものの比較的安心感のある結果が報告されているという。

出生前生化学的検査、母親の心血管リスクを識別か/BMJ

 世界中で多くの女性が、トリソミーおよび先天異常に関して、出生前の生化学的スクリーニングを受けている。カナダ・トロント大学のJoel G. Ray氏らは、出生前の生化学的スクリーニングで異常な結果を認めた女性は、心血管疾患のリスクが高い可能性があることを示した。出生前の生化学的スクリーニングの異常値は、妊娠高血圧腎症の高リスクと関連し、妊娠高血圧腎症は心血管疾患と関連するが、出生前の生化学的スクリーニングと母親の心血管疾患やそのサブタイプのリスクについて検証した試験は、これまでなかったという。BMJ誌2018年7月11日号掲載の報告。

HPV検査の子宮頸部前がん病変の検出能/JAMA

 北米では、子宮頸がんのスクリーニングにおける細胞診検査と比較した、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査の相対的な有効性に関する情報は十分でないという。カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のGina Suzanne Ogilvie氏らは、HPV検査陰性の女性は細胞診検査陰性の女性に比べ、48ヵ月時点で診断されたGrade3以上の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3+)およびGrade2以上のCIN(CIN2+)の割合が低かったことを、JAMA誌2018年7月3日号で報告した。

重度血小板数低下の妊婦は妊娠合併症に注意/NEJM

 米国・オクラホマ大学健康科学センターのJessica A. Reese氏らが、妊婦約7,400例の血小板数を解析した結果、調査したすべての妊婦において、妊娠経過中に平均血小板数は減少し、この減少は妊娠初期(妊娠0~13週)に始まっていたが、妊娠関連合併症を有する妊婦でさえ重度の血小板減少はまれであることが明らかになったという。著者は、「血小板数が10万/mm3未満の妊婦では、妊娠または妊娠合併症以外の原因を調べなければならない」と提言している。合併症のない妊婦で血小板数が15万/mm3未満の場合、他の原因が確認されなければ妊娠性血小板減少症とされ、妊娠中毒症などの妊娠関連合併症を有する妊婦では、血小板数がさらに低下する可能性があるが、妊娠中の血小板減少症の発現頻度や重症度については明らかになっていなかった。NEJM誌2018年7月5日号掲載の報告。

【JSMO2018みどころ】免疫療法とがんゲノム医療を中心に

 2018年7月19日(木)から3日間にわたって、第16回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立ち先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。本稿では、「がんゲノム医療」「がん免疫療法」の注目演題をセミナーでの演者のコメントとともに紹介する。

CVリスク患者の術前運動耐容能評価にご用心/Lancet

 心臓以外の大手術前に行う運動耐容能の評価には、主観的評価は用いるべきではないことが、カナダ・Li Ka Shing Knowledge InstituteのDuminda N. Wijeysundera氏らによる国際共同前向きコホート試験の結果、示された。運動耐容能は大手術リスクアセスメントの重要な項目の1つであるが、それに対する医師の臨床上の主観的評価は必ずしも正確ではない。研究グループは、術前の主観的評価と、死亡や合併症を予測する代替フィットネスマーカー(心肺運動負荷試験[CPET:cardiopulmonary exercise testing]、DASI:Duke Activity Status Index、NT pro-BNP)を比較する検討を行った。Lancet誌オンライン版2018年6月30日号掲載の報告。