産婦人科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

神経発達障害リスク、中等度/後期早産児で高い/BMJ

 正期産(在胎期間39週0日~40週6日)で出生した子供と比較して、中等度早産(同32週0日~33週6日)および後期早産(同34週0日~36週6日)で出生した子供は、有害な神経発達アウトカムのリスクが高く、このリスクは在胎週数32週から41週まで徐々に低下することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAyoub Mitha氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月24日号で報告された。  本研究は、異なる在胎週数で出生した子供における長期的な神経発達アウトカムの評価を目的とするスウェーデンの全国規模のコホート研究である(スウェーデン・カロリンスカ研究所研究基金などの助成を受けた)。  解析には、Swedish Medical Birth Registerといくつかの全国的な登録システムのデータを用いた。対象は、1998~2012年に、在胎期間32週0日~41週6日の単胎の生児として出生し、先天奇形のない子供128万1,690人であった。

母乳最低限の超早産児の神経発達、ドナーミルクvs.早産児用粉ミルク/JAMA

 最小限の母乳しか与えられなかった超早産児は、ドナーミルクまたは早産児用粉ミルクのいずれを与えられても、修正月齢22~26ヵ月時点の神経発達アウトカムに差異は認められなかった。米国・アイオワ大学のTarah T. Colaizy氏らが、Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development Neonatal Research Networkに参加している米国の大学医療センター15施設で実施した無作為化二重盲検臨床試験「MILK試験」の結果を報告した。出生後入院中の超早産児の母乳育児は、早産児用粉ミルクと比較して神経発達の良好なアウトカムと関連しているが、母乳をまったく与えていない、または最小限しか与えていない超早産児において、ドナーミルクが早産児用粉ミルクと同様の神経発達上の利点をもたらすかは不明であった。JAMA誌オンライン版2024年1月30日号掲載の報告。

早期閉経やホルモン補充療法は関節リウマチのリスク増加と関連

 女性は50歳未満での関節リウマチ(RA)の発症リスクが男性よりも4〜5倍高いが、この原因として、いくつかのホルモン因子が関与している可能性が新たな研究で示唆された。ホルモンや生殖に関わる因子とRAリスクとの関連を検討したところ、45歳前の早期閉経やホルモン補充療法(HRT)を受けていること、4人以上の子どもがいることなどがリスク上昇と関連していることが示されたという。安徽医科大学(中国)公共衛生学院のHai-Feng Pan氏らによるこの研究の詳細は、「RMD Open」に1月9日掲載された。  RAは、体の免疫系が関節を含む自分の組織を誤って攻撃してしまう自己免疫疾患であり、ダメージが他の臓器に及ぶこともある。RAリスクは男性よりも女性で高いことが以前から知られており、女性でのリスクは、50歳未満では男性の4〜5倍、60〜70歳では男性の2倍と推定されている。さらに、女性の方が男性よりもRAの進行速度が早く、疾患活動性も高いことも知られている。

妊娠中期のEPA/DHA摂取量が少ないと低出生体重児の割合が高い

 日本人女性では、妊娠中期の食事やサプリメントから摂取するエイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)といったn-3系脂肪酸の摂取量が少ないと、低出生体重(low birth weight;LBW)児の割合が高いという研究結果を、山形大学大学院看護学専攻の藤田愛氏、吉村桃果氏らの研究グループが「Nutrients」に11月18日発表した。妊娠中期までのn-3系脂肪酸の摂取不足は、LBWの危険因子の一つだとしている。  これまでの研究から、妊娠中の母親の栄養不足はLBWの危険因子であり、中でも食事中のEPAやDHA不足はLBWリスクの上昇と関連することが報告されている。ただし、これまでの解析では、EPA、DHAの摂取量は食事からのものに限られており、サプリメントによる摂取量は考慮されていなかった。そこで、研究グループは、The Japan Pregnancy Eating and Activity Cohort Study(J-PEACH Study、代表:春名めぐみ氏)の一環として、妊娠中期(妊娠14~27週)におけるEPA/DHAの摂取量とLBWとの関連を検討する前向きコホート研究を実施した。

卵巣がん再発の早期検出に腫瘍マーカーHE4とCA125の併用を/アボット

 ヒト精巣上体タンパク4(HE4)は、卵巣がんの腫瘍マーカーとして広く使用され、2022年には経過観察でも保険適用となっている。アボットジャパンは2024年1月、国立がん研究センター中央病院婦人腫瘍科の加藤友康氏と宇野雅哉氏を招き、HE4の卵巣がん経過観察に関する会見を行った。  卵巣がんは自覚症状に乏しく、進行した状態で見つかることが多い。いったん切除しても再発すると治療困難となるため、経過観察が重要である。経過観察は画像診断が主体だが、放射線被ばくやコスト面から頻回実施は困難である。そのため、定期的に腫瘍マーカーで上昇を確認したうえで、画像診断を行うことが望まれている。

HIV感染妊婦のマラリア予防、間欠的予防療法の追加が有効/Lancet

 スルファドキシン/ピリメタミン耐性が高度で、通年性のマラリア感染がみられる地域において、ドルテグラビルをベースとする抗レトロウイルス薬の併用療法(cART)を受けているHIV感染妊婦に対するマラリアの化学予防では、コトリモキサゾール連日投与による標準治療への、dihydroartemisinin-piperaquine月1回による間欠的予防療法の追加は、これを追加しない場合と比較して、分娩までのマラリア原虫(Plasmodium属)の活動性感染のリスクが有意に低下することが、ケニア中央医学研究所のHellen C. Barsosio氏らの検討で示された。研究の成果は、Lancet誌2024年1月12日号で報告された。

初潮発来が早いと糖尿病リスクが高い

 より低年齢の時期に月経が始まった女性は、成人後の2型糖尿病リスク、および2型糖尿病に伴う65歳以前の脳卒中リスクが高くなる可能性を示すデータが報告された。米チューレーン大学のSylvia Ley氏らの研究によるもので、詳細は「BMJ Nutrition Prevention & Health」に12月5日掲載された。  これまでにも初潮発来(初めての月経)の早さが肥満や2型糖尿病、心血管疾患のリスクの高さと関連のあることが報告されてきているが、それらの研究は閉経後の女性のみを対象にしているなど、解釈上の限界点があった。そこでLey氏らは、1999~2018年の米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを用いて、20~65歳という幅広い年齢の女性を対象として、初潮年齢と2型糖尿病や心血管疾患(CVD)のリスクとの関係を検討した。

父親の飲酒は子の先天性異常と関連

 妊婦の飲酒が胎児の健康に悪影響を及ぼすことは、これまで多くの研究で指摘されている。しかし、男性の飲酒も新生児の先天性異常のリスクを高める可能性のあることが新たな研究で明らかになった。論文の上席著者である米テキサスA&M大学獣医学・生物医学科学大学教授のMichael Golding氏は、「新生児の先天性異常を避けたい男性は、妊娠を試みる3カ月前から禁酒するべきだ」と述べている。この研究結果は、「Andrology」に12月3日掲載された。  胎児性アルコール症候群は妊娠中の大きなリスクであり、出生児に顔面などの形態異常、低出生体重、注意力や多動性の問題、協調性の欠如などを引き起こす可能性がある。胎児性アルコール症候群を診断する際には、母親の妊娠中の飲酒の有無を確認する必要があるが、父親に対する確認は必要とされていない。Golding氏は、「長い間、男性の飲酒については全く考慮されてこなかった。ここ5〜8年間でようやく、特定の条件下では、父親のアルコール摂取が胎児の発育に非常に強い影響を及ぼす可能性のあることが検討されるようになった」と話す。

周産期うつ病、家族要因を問わず死亡リスク増大/BMJ

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のNaela Hagatulah氏らは、同国の全国規模の住民ベース適合コホート試験の結果、周産期うつ病と診断された女性では、家族的要因を考慮してもとくに診断直後の1年間の自殺による死亡リスクが増加していたことを報告した。周産期うつ病は、妊娠に伴い最もよくみられる合併症の1つで、出産前後の女性の罹患率は最大で20%と報告されている。産後精神障害(精神病性障害、感情障害、不安障害など)を有する女性は、それらの影響を受けなかった女性や一般の女性集団と比べて死亡リスクが高いことが報告されているが、産前を含む周産期うつ病との関連についてエビデンスは限定的であった。また、家族内で共有する要因が周産期うつ病や自殺による死亡リスクの増加に寄与する可能性も指摘されているが、検討された試験データはなかった。著者は今回の結果を踏まえて、「周産期うつの影響を受けた女性、その家族、医療従事者は、これら周産期うつ病後の重大な健康リスクを認識する必要がある」と提言している。BMJ誌2024年1月10日号掲載の報告。

妊娠高血圧腎症予防のCa補充、低用量vs.高用量/NEJM

 妊娠中のカルシウム補充について、低用量(500mg/日)は高用量(1,500mg/日)に対し、妊娠高血圧腎症のリスクに関して非劣性を示したことが、インドとタンザニアでそれぞれ行われた無作為化試験の結果で示された。また、早産のリスクに関して、インドの試験では非劣性であったが、タンザニアの試験では同様の所見は示されなかったという。インド・St. John's Research InstituteのPratibha Dwarkanath氏らが報告した。世界保健機関(WHO)は、妊娠高血圧腎症のリスク軽減のため、食事からのカルシウム摂取量が少ない住民集団の妊婦に対して、1日1,500~2,000mgのカルシウムを3回に分けて補充するよう推奨している。しかし、服薬アドヒアランスへの懸念と複雑な投与計画に伴う高コストのプログラムのために、現状では高用量カルシウム補充を実施している国は数ヵ国にとどまるという。NEJM誌2024年1月11日号掲載の報告。