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聖路加GENERAL 【Dr.石松の帰してはいけない患者症例】<上巻>

危険な兆候を見極める!

シリーズ名
聖路加GENERAL
診療科
救急科 
収録内容
1.「頭痛篇」
2.「胸痛篇」
講師
徳田 安春 岡田 正人 岸本 暢將 石松 伸一
収録時間
68分
価格
8,250円(税込)
発行日
2012/12/17
商品コード
CND0186

1.「頭痛篇」



さまざまな症状で救急に来る患者さん。最も重要なのは、緊急性の判断です。緊急性の高い疾患を見逃して、帰してしまうようなことだけは避けなければなりません。問診、身体所見、必要な検査を迅速に行い、疾患の鑑別を行いますが、判断の難しいケース、ときには緊急性なしと判断されてしまう場合もあります。
比較的よくみられる症例をとおして「帰してはいけない」緊急性が高い疾患の見分け方を解説します。

【症例1】3カ月前から、バンドで締め付けるような頭痛が徐々に発生した55歳の女性。
【症例2】会議中に突然頭痛が発症し、嘔吐を伴い痛みが持続している52歳女性。
この2つの症例から緊急性の有無を見極めるには、まず"OPQRST"チェックを行います。その結果、2例目はとても危険度の高い症例であることがわかり、無事に治療を受けることができました。その極意をお伝えします。

【症例3】ランニング中に頭痛と嘔気を催した34歳の男性。
頭痛は改善せず6日間持続し、さらに増悪したため来院しました。まずは前回お伝えした"OPQRST"でチェックすると、「頭痛が6日間継続し、かなり激しい痛みにまで増悪した」ことから、危険な疾患が予測されました。しかし、身体所見をみると、ほとんど異常がみられません。どうやら、典型的なものではないようですが、どのようにアプローチするのでしょうか?

【症例4】嘔吐、羞明、右半身筋力低下という随伴症状のある25歳女性。
これは、もちろん片頭痛として帰すわけにはいきません。しかしCTとMRIを施行しましたが、異常な所見はありませんでした。この症例、どのように診断したのでしょうか?
頭痛の診断に役に立つチェックリスト"OPQRST"について、さらに詳しく解説します。

2.「胸痛篇」

胸痛で救急対応といえば、ACSなど危険な疾患を迅速に鑑別しなければなりません。
【症例1】一週間前から胸痛が断続的に続く79歳の女性。
早速痛みのチェックリスト“OPQRST”でチェックすると、「ACSなどの危険な疾患はない」と判断されました。また血液、心電図、CXRを検査しても異常は認められません。さて、どんな診断がくだされるのでしょうか。

【症例2】ビールを飲んで締め付けられるような胸痛を発症した50歳の男性。
肥満、高血圧、不整脈、脂質異常、喫煙とリスクファクターがずらりと揃っています。前例のGERDにもあてはまりそうですが、まずはリスクの高いところから評価をしていきます。ところが、血液、心電図とも特にACSを疑う所見は出てきません。さて、危険な疾患がみつかりそうなこの患者にどのようにアプローチしたのでしょうか。
聖路加GENERAL<循環器内科>でお伝えした、「狭心症3つの質問」などを交えて展開します。

【症例3】仕事中に、突然胸が苦しくなり意識を失った54歳の男性。
またもやACS ? しかし、血液検査でも心電図でも異常がみつかりません。次に局所症状があったことから、頭部CTを撮りましたが、こちらも異常所見はありませんでした。異常が見つかったのは胸部単純写真からでした。左第一弓が突出していることから、大動脈造影CTを撮影したところ、明らかな解離がみられました。

【症例4】背部痛と嘔気のある56歳の女性。
夜中に痛みを発症し、痛み止めを飲んでも効果がないため救急来院。身体所見では、既往の高血圧以外は特に異常はみられませんでした。このような場合はOPQRSTで病歴を再度チェック!その結果、先ほどと同じ大動脈解離も鑑別にあがります。さて、この背部痛はどうだったのでしょうか。

徳田 安春 ( とくだ やすはる )氏 臨床研修病院群プロジェクト 群星沖縄センター長

1988年琉球大学医学部卒業。沖縄県立中部病院にて研修後、沖縄県立八重山病院内科、 Dartmouth Hitchcock Medical Center(GIM fellow)、沖縄県立中部病院総合内科、 聖路加国際病院一般内科・聖ルカ・ライフサイエンス研究所臨床疫学センター、筑波大学大学院人間総合化学研究科 臨床医学系教授を経て 2017年より現職 。ハーバード大学大学院MPH、医学博士、米国内科学会上級会員、日本内科学会総合内科専門医。 著書に『新・総合診療医学』『バイタルサインでここまでわかる!OKとNG』(ともにカイ書林)。 『アセスメント力を高める! バイタルサイン 』(医学書院)など多数。

岡田 正人 ( おかだ まさと )氏 聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center 部長・センター長

1991年より米国のニューヨーク・ベスイスラエルメディカルセンターにて内科研修後、1994年よりイェール大学病院にてリウマチ膠原病内科とアレルギー臨床免疫科にて専門研修。1997年から仏国のパリ第5大学医学部およびNYコーネル大学の関連病院にてセクションチーフを8年間務めたのち帰国し2006年より現職。京都大学大学院、東京大学医科学研究所、大分大学非常勤講師、愛知医科大学客員教授。Yale Physician-Scientist Award、ACR Senior Rheumatology Scientist Award受賞。米国内科・リウマチ膠原病内科・アレルギー臨床免疫科(成人・小児)専門医。在仏中はル・コルドン・ブルーのワイン講座に通い、現在もワインセラーには500本以上を貯蔵するワイン通。

岸本 暢將 ( きしもと みつまさ )氏 杏林大学医学部付属病院 腎臓・リウマチ膠原病内科 准教授

米国内科専門医、米国リウマチ膠原病科専門医。 1998年北里大学卒業後、沖縄県立中部病院初期研修、在沖縄米国海軍病院インターンを経てハワイ大学内科レジデンシー。ベストインターン賞、ベストレジデント賞受賞。ニューヨーク大学リウマチ科フェローシップを経て2006年8月より亀田総合病院リウマチ膠原病内科。2009年 8月より聖路加国際病院 アレルギー・膠原病センター副医長、2012年より医長。2019年より現職。東京大学アレルギー・リウマチ内科、東京医科歯科大学臨床医学教育開発学非常勤講師。2006年米国リウマチ学会Distinguished Fellow賞受賞。Bulletin of the NYU Hospital for joint diseases誌編集委員。

石松 伸一 ( いしまつ しんいち )氏 聖路加国際病院 救命救急センター センター長

川崎医科大学附属病院・救急部を経て現職。日本救急医学会専門医。日本集中治療医学会専門医。地下鉄サリン事件をはじめ、さまざまな事件や災害を経験して得た教訓・知識を後進に伝えている。著書:『看護師・研修医のための急変対応101の鉄則 』(照林社)