糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:129

ピオグリタゾンと膀胱がんの関連はいかに…(解説:吉岡 成人 氏)-589

2016年3月末、英国のプライマリケアのデータベースを利用して、14万5,806例の新たに治療を開始した2型糖尿病患者を解析したデータにおいて、ピオグリタゾン投与群ではそれ以外の薬剤治療群と比較してハザード比で1.63(95%信頼区間:1.22~2.19)倍、膀胱がんの発症が多いことがBritish Medical Journal誌に報告された。

観察研究の限界超えられず:CLARIFY登録観察研究(解説:桑島 巖 氏)-588

冠動脈疾患合併の高血圧症例では、過度な降圧によってかえって心血管予後が悪くなるという、いわゆるJカーブ論争というのが古くからあるが、本研究はそれをぶり返す論文である。すなわち、登録時および観察中の血圧が120mmHg以上では心血管死、心血管合併症は増えるものの、120mmHg未満であっても予後は悪化するという結論である。

運動での消費カロリーの情報は体重管理に逆効果?

 運動での消費カロリーを実際より高く伝えられると、その後の食事の摂取カロリーが高くなる可能性があることを、英国・ブリストル大学Duncan C McCaig氏らが報告した。モバイルアプリなどによる消費カロリーの情報提供は、健康的な体重管理に逆効果となるかもしれないと考察している。Appetite誌オンライン版2016年8月20日号に掲載。

製薬企業から医師への報酬、処方に有意に影響/BMJ

 製薬企業から医師に支払われる、講演料やコンサルティング料などは、その地域で営業活動が展開されている経口抗凝固薬と非インスリン糖尿病治療薬の、処方日数の増加と結び付いていることが明らかにされた。同処方増は、報酬対象が非専門医よりも専門医の場合であったほうが、有意に大きかったという。米国・エール大学のWilliam Fleischman氏らが、米国306地域の病院医療圏(hospital referral region:HRR)を対象に断面調査を行った結果で、BMJ誌オンライン版2016年8月18日号で発表した。製薬企業から医師への報酬は処方に影響しないと考える医師が多いが、これまでその影響を調べた検討はほとんど行われていなかった。

糖尿病患者は血圧が低いほうが心筋梗塞になりにくい?しかし降圧治療による結果ではない(解説:桑島 巖 氏)-586

SPRINT試験は、高リスク高血圧患者の降圧目標に関して、収縮期血圧120mmHg未満が140mmHg未満よりも心血管イベントおよび心血管死が少ないという結果を示し、話題をさらったことは記憶に新しい。しかし、SPRINT試験では糖尿病合併例は除外されていた。ACCORD-BP試験で収縮期血圧120mmHg未満の群と140mmHg未満の群で心血管合併症発症に有意差が見られなかったとの理由からである。

1型糖尿病の夜間クローズドループ療法、妊婦にも有効/NEJM

 1型糖尿病の妊婦では、自動化された夜間クローズドループ療法は、センサー付きのインスリンポンプ(sensor-augmented pump:SAP)療法よりも良好な血糖コントロールをもたらすことが、英国・ケンブリッジ大学のZoe A Stewart氏らの検討で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年8月18日号に掲載された。妊娠中の1型糖尿病の合併症として、先天性異常、死産、新生児の死亡、早産、巨大児の発生率が増加する。妊娠していない1型糖尿病患者の血糖コントロールでは、クローズドループ療法がSAP療法よりも優れることが報告されているが、妊婦における効果や安全性、実行可能性のデータは十分でないという。

ピオグリタゾンと膀胱がんリスク関連なし~欧州38万人の解析/BMJ

 2型糖尿病患者において、ピオグリタゾンの使用と膀胱がんのリスクに関連性はなく、ピオグリタゾンを長期間使用しても膀胱がんのリスクは増加しない。フィンランド・EPID ResearchのPasi Korhonen氏らが、欧州医薬品庁の要請で行った欧州4ヵ国での後ろ向きコホート研究で明らかにした。これまで多くの疫学研究でピオグリタゾンによる膀胱がんのリスク増加が報告されてきたが、なかには割り付けバイアスあるいは膀胱がんの危険因子に関する情報不足が認められた研究もあった。一方、最近ではピオグリタゾンと膀胱がんリスクとの関連はないという大規模長期追跡研究も報告されているが、今回も同様の結果であった。著者は、「欧州におけるピオグリタゾンの安全性に関する重要情報が上積みされた」とまとめている。BMJ誌オンライン版2016年8月16日号掲載の報告。