糖尿病・代謝・内分泌科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:2

糖尿病患者の死因1位は男女ともに悪性新生物/糖尿病学会

 従来、糖尿病患者は、大血管障害で亡くなる患者が多かった。最新の『糖尿病診療ガイド 2022-2023』では、糖尿病治療の目標を「健康な人と変わらない人生」と定義し、糖尿病合併症である糖尿病細小血管合併症や動脈硬化性疾患の発症、進展の阻止を治療の柱としている。  では実際に糖尿病患者は、どのような死因で亡くなっているのだろうか。糖尿病学会では「糖尿病の死因に関する委員会」(委員長:中村 二郎氏[愛知医科大学医学部 先進糖尿病治療学寄附講座 教授])を設置し、全国の医療機関にアンケートを行い、死因の調査を行っている。

肥満手術、長期の血糖コントロールが内科的介入より良好/JAMA

 肥満者の2型糖尿病の治療において、内科的介入+生活様式介入と比較して肥満手術は、術後7年の時点で糖尿病治療薬の使用例が少ないにもかかわらず血糖コントロールが優れ、糖尿病の寛解率も高いことが、米国・ピッツバーグ大学のAnita P. Courcoulas氏らが実施した「ARMMS-T2D試験」の長期の追跡結果から明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2024年2月27日号に掲載された。  ARMMS-T2D試験は、2007年5月1日~2013年8月30日に、2型糖尿病における内科的/生活様式管理と肥満手術の有効性、効果の持続性、安全性の評価を目的に、米国の4施設がそれぞれ単独で行った無作為化試験の統合解析である(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所[NIDDK]の助成を受けた)。

肥満症治療薬のチルゼパチドで肥満者の血圧が低下

 肥満症治療薬のZepbound(ゼップバウンド、一般名チルゼパチド)の効果は、体重の減少や糖尿病コントロールの改善にとどまらないようだ。米テキサス大学サウスウェスタン医療センター心臓病学部長のJames de Lemos氏らによる研究で、チルゼパチドを使用した肥満患者では収縮期血圧(上の血圧)が有意に低下し、同薬が肥満者の血圧コントロールにも有効である可能性が示唆されたのだ。チルゼパチドの製造販売元であるEli Lilly社の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「Hypertension」に2月5日掲載された。

超加工食品摂取の健康への有害性、アンブレラレビューでも/BMJ

 超加工食品の摂取の多さは、有害な健康アウトカム、とくに心代謝系、一般的な精神障害および死亡のリスク増大と関連していることが、オーストラリア・ディーキン大学のMelissa M. Lane氏らの検討で示された。超加工食品と有害な健康アウトカムとの関連性についてはメタ解析が行われているが、研究グループは幅広い視点を提供し、先行研究のメタ解析によるエビデンスを評価するため、包括的なアンブレラレビューを行った。結果を踏まえて著者は、「今回得られた知見は、健康改善のために超加工食品への曝露を減らす公衆衛生対策の策定、およびその効果の評価に論理的根拠を与えるものである」と述べている。BMJ誌2024年2月28日号掲載の報告。

内臓脂肪減少薬オルリスタット、OTCで発売/大正

 大正製薬は日本初の内臓脂肪減少薬オルリスタット(商品名:アライ)を、ダイレクトOTC薬として2024年4月8日に発売する。発売に先立ち世界肥満デーである3月4日に新発売記者会見を開催した。  米国の若年成人の肥満(BMI30以上)は、1970年代後半には5.5%だったが、2017年には33%と6倍に増加している。米国だけでなく1975年当時BMI25前後だった欧州、中東、オーストラリアなども2014年には30前後になっている。いまや肥満は世界的パンデミックと言っても過言ではない。  BMI30の白人の2型糖尿病発症率は10%強、日本人を含む東アジア人はBMI24〜25で同じ発症率に達してしまう。つまり、「日本人は小太りでも病気になりやすい」と日本肥満学会理事長である千葉大学の横手 幸太郎氏は述べる。

日本人NASH患者の臨床的特徴~5年間のRWDを用いた症例対照研究

 得津 慶氏(産業医科大学公衆衛生学 助教)らが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)およびそれに関連する患者の臨床的特徴を調べるため、国民健康保険ならびに後期高齢者レセプトデータベースといったReal World Data(RWD)を用いて症例対照研究を行った。その結果、NASHの診断定義を満たした患者では非NASH患者に比べてBMIが有意に高いことが示唆された。また、女性、脂質異常症、高血圧症、胃食道逆流症(GERD)、2型糖尿病の罹患割合はNASH群で高く、NASHは肝硬変や肝がんのリスク上昇と関連していたことも示唆された。BMJ Open誌2023年8月22日号掲載の報告。

ブロッコリーが慢性炎症と死亡を低減?

 わが国において、2026年からブロッコリーが農林水産省の指定野菜(重要な野菜として位置付けているもの)に追加されることになった。そのブロッコリーが、全身の慢性炎症と死亡率の低下に関連していたことが、米国・サウスフロリダ大学のNicholas W. Carris氏らによって明らかになった。Journal of Medicinal Food誌オンライン版2024年2月14日号掲載の報告。  全身性の異常な炎症が続くことで、心血管系やがんなどのさまざまな疾患のリスクが上昇することが知られている。食事習慣の中には、炎症に関連するものもあれば、炎症を抑えて健康を改善するものもある。そこで研究グループは、慢性炎症と死亡率に関連する食品を特定するため、前向きコホート研究を実施した。

減量で糖尿病が寛解すると心臓病と腎臓病のリスクが下がる

 減量によって2型糖尿病が寛解すると、心臓と腎臓の状態にもメリットがもたらされる可能性のあることが明らかになった。寛解期間が限られたものであっても心臓病のリスクは40%、腎臓病のリスクは33%低下し、寛解期間がより長ければ、より大きなリスク低下につながる可能性があるという。アイルランド王立外科医学院(RCSI)のEdward Gregg氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に1月18日掲載された。同氏は、「本研究は、糖尿病の寛解と糖尿病関連合併症のリスクとの関連を検討した初の介入研究の結果であり、糖尿病の寛解を達成可能な状態にある人たちにとって心強いニュースだ」と話している。

高齢になると糖尿病有病率が高くなる理由/順天堂大学

 加齢に伴うインスリン感受性と分泌の低下により、高齢者では糖尿病の有病率が高いことが知られている。一方で、インスリン感受性と分泌の両方が65歳以降も低下し続けるかどうかは、まだ解明されていなかった。この疑問について、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の内藤 仁嗣氏らの研究グループは、65歳以降の糖代謝に対する加齢の影響を調査し、その決定因子を明らかにする研究を行った。その結果、高齢者では加齢に伴い、インスリン抵抗性が増加、膵β細胞機能が低下していることが明らかになった。Journal of the Endocrine Society誌オンライン版2023年12月20日号に掲載。  本研究では、文京区在住高齢者のコホート研究“Bunkyo Health Study”に参加した65~84歳の糖尿病既往がなく、糖尿病の診断に用いられる検査である75g経口糖負荷検査(OGTT)のデータが揃っている1,438例を対象とした。

週1回投与の肥満症治療薬「ウゴービ」を発売/ノボ ノルディスク

 ノボ ノルディスク ファーマは、肥満症を適応症としたヒトグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチド(商品名:ウゴービ皮下注)を2024年2月22日に発売した。  セマグルチドは、週1回皮下投与のGLP-1受容体作動薬で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることで、食事量を減らし、カロリー摂取量を抑え、体重減少を促す。  本剤は約4,700例の過体重または肥満の成人が参加した「STEP臨床試験プログラム」の結果に基づき、2023年3月27日に製造販売承認を取得した。  STEP臨床試験プログラムは、肥満の成人を対象としたセマグルチド皮下注2.4mgSDの週1回皮下投与による第III相臨床開発プログラム。過体重または肥満の成人約4,700例を登録した4つの試験で構成される第IIIa相グローバル臨床プログラムに加え、肥満症の成人を登録した東アジア試験(STEP6試験)などが実施された。