皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:4

膿疱性乾癬のフレア予防、高用量のスペソリマブが有効/Lancet

 膿疱性乾癬(汎発型)(GPP)の急性症状(フレア)の予防において、プラセボと比較して抗インターロイキン36受容体(IL-36R)モノクローナル抗体スペソリマブの高用量投与は、GPPの急性症状の発現を改善し、安全性プロファイルも良好であることが、名古屋市立大学の森田明理氏らが実施した「Effisayil 2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年9月19日号で報告された。  Effisayil 2試験は、日本を含む20ヵ国60施設で実施された無作為化プラセボ対照第IIb相試験であり、2020年6月~2022年11月に患者のスクリーニングを行った(Boehringer Ingelheimの助成を受けた)。

精神的苦痛の大きい白斑患者の特徴

 米国・Incyte CorporationのKristen Bibeau氏らが17ヵ国の白斑患者を対象に、白斑とQOL、メンタルヘルスとの関連性を調べる定性的研究を行った。その結果、世界的に白斑患者は、感情的幸福感(emotional well-being)、日常生活、心理社会的健康に大きな影響を受けていることが示された。その負荷は体表面積(BSA)5%超の病変を有する患者、肌の色が濃い患者、顔や手に病変がある患者で最も大きかった。また、本研究から、患者が振る舞いを変えたこと、明らかな不満を表出していたこと、うつ病と一致する症状を有していたことが示唆され、著者らは、これらが過小診断されている可能性があるとしている。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月30日号掲載の報告。

「爪白癬は外用薬で治す」は誤解?

 昨年6月にイムノクロマト法を用いた白癬菌抗原キット「デルマクイック爪白癬」が発売されたことを契機に、以前に比べ、内科医でも爪白癬の診断に対応できるようになったのをご存じだろうか。今回、常深 祐一郎氏(埼玉医科大学医学部皮膚科 教授)が『本邦初の白癬菌抗原検査キットによる爪水虫診断と正しい治療法~爪水虫診療は新たなステージへ~』と題し、今年4月に発表された爪白癬の治療実態調査の結果、新たな抗原キットなどについて説明した(佐藤製薬・マルホ共催メディアセミナー)。

中等症~重症アトピー性皮膚炎、トラロキヌマブは高齢者にも有用

 65歳以上の中等症~重症アトピー性皮膚炎患者において、トラロキヌマブの忍容性および有効性は良好であることが示された。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のJoseph F. Merola氏らが、第III相無作為化プラセボ対照試験「ECZTRA試験(1、2、3)」の事後解析により明らかにした。アトピー性皮膚炎を有する高齢者には、併存疾患やポリファーマシー、感染症(帯状疱疹など)のリスクが高いなど、特有の治療課題が存在するが、臨床試験のデータは限られていた。JAMA Dermatology誌オンライン版2023年8月23日号掲載の報告。

にきびに対して最も効果的な治療法とは?

 生活の質(QOL)に大きな影響を与えかねないにきび(ざ瘡)に対する最も効果的な治療法は何なのだろうか。台大病院(台湾)のChung-Yen Huang氏らによる200件以上の研究を対象にしたレビューから、その答えは、経口イソトレチノイン(商品名アキュテイン)であることが明らかになった。この研究結果は、「Annals of Family Medicine」7/8月号に掲載された。  Huang氏らは、にきびに対する薬物療法に関する包括的な比較を行うために、論文データベースを用いて2022年2月までに発表された関連論文を検索し、221件の臨床試験を含む210件の研究論文(対象者の総計6万5,601人、平均年齢20.4歳)をレビュー対象として抽出。これらの研究で検討されていた37種類のにきび治療法を、総皮疹数、炎症性皮疹数、非炎症性皮疹数の減少率に基づき比較した。対象とした37種類のにきび治療法には、外用と経口の抗菌薬、外用レチノイド、経口イソトレチノイン、過酸化ベンゾイル(BPO)、アゼライン酸、ホルモン治療薬の単剤療法と併用療法が含まれていた。治療期間中央値は12週間だった。

中等症~重症の尋常性乾癬へのリサンキズマブ、5年追跡結果

 中等症~重症の尋常性乾癬患者に対するリサンキズマブ治療の長期安全性と有効性が報告された。最長5年の継続投与の忍容性は良好であり、持続的かつ高い有効性が示された。ベルギー・Alliance Clinical Research and Probity Medical ResearchのKim A. Papp氏らが、進行中の第III相非盲検延長試験「LIMMitless試験」の中間解析の結果をJournal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2023年8月6日号で報告した。乾癬は慢性の炎症性皮膚疾患で、長期にわたる治療が必要になることが多い。リサンキズマブはヒト化抗ヒトIL-23p19モノクローナル抗体製剤で、IL-23のp19サブユニットに結合し、IL-23の作用を中和することで乾癬による皮膚症状や関節炎などを改善する。

パーソナルケア製品、男性ではこの20年で使用が倍増

 米国成人は、シャンプーやデオドラントなどの自分の身体をケアするための製品(パーソナルケア製品)を1日に平均で12種類使用していることが、米環境ワーキンググループ(Environmental Working Group;EWG)のHomer Swei氏らが7月26日に公表した新たな調査で明らかにされた。これらの12製品には、合計で112種類の化学成分が含まれており、その一部は健康にとって有害な可能性も示されたという。  パーソナルケア製品の使用に関するこの調査は2023年2月に実施され、2,207人の米国成人(男女のカテゴリーからの選択で、女性1,128人、男性1,073人)から回答が得られた。その結果、男性では、パーソナルケア製品の毎日の使用が、前回調査時(2004年)の平均6種類の使用から今回の調査での平均11種類の使用へと倍増していたことが示された。11種類の製品の内訳は、ボディーケア製品が6種類、スキンケア製品と化粧品が1種類ずつ、ヘアケア製品が2種類で、残る1種類はベビーケア製品(お尻ふき)だった。これに対して、女性では前回の調査時が平均12種類の使用だったのが、今回の調査では平均13種類の使用であり、大きな変化は見られなかった。また、約10%の人は、化粧品、シャンプー、保湿剤、デオドラント、石鹸など25種類以上の製品を毎日使用している、いわゆる「ヘビーユーザー」であることも判明した。

爪をかむ癖や皮膚をむしる癖を直す方法とは?

 爪をかんだり、皮膚をむしったり、髪を抜いたりする癖を直したいと思っている人は、そのような癖が出そうになったときに、指先や手のひら、腕を軽くこするように触れるという方法を試してみてほしい。このような「癖置き換え療法」を6週間にわたって実践した結果、試験参加者の半数以上で効果が確認されたとするランダム化比較試験の結果を、ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センター(ドイツ)のSteffen Moritz氏が、「JAMA Dermatology」に7月19日発表した。  世界中で約5%の人が、爪や髪などの自分の体の一部をむしったりかんだりする身体集中反復行動(BFRB)を有するとされている。Moritz氏らは今回、ソーシャルメディアを通じて募集したBFRBを有する268人(女性89.9%、平均年齢36.8歳)を対象にランダム化比較試験を実施し、癖置き換え療法の有効性を検証した。試験参加者の68.3%に皮膚をむしる癖、36.6%に爪をかむ癖、28.4%に髪を抜く癖、26.1%に唇や頬をかむ癖、20.1%にその他の癖があった。参加者は半数ずつ、癖置き換え療法を行う介入群と待機リスト対照群にランダムに割り付けられた。介入期間は6週間だった。最終的に、77.6%(介入群79.1%、対照群76.1%)の参加者を解析に含めた。

ネモリズマブ、6~12歳のアトピー性皮膚炎にも有用

 ネモリズマブは、アトピー性皮膚炎(AD)に伴うそう痒を有し、外用薬や経口抗ヒスタミン薬で効果不十分な6~12歳の小児患者にとって、新たな治療選択肢となる可能性が示された。いがらし皮膚科東五反田院長(前NTT東日本関東病院 皮膚科部長)の五十嵐 敦之氏らが、6~12歳の日本人AD患者を対象に行った第III相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験の結果を報告した。ヒト化抗IL-31受容体Aモノクローナル抗体ネモリズマブは、13歳以上のAD患者において外用薬との併用でそう痒を軽減し、QOLを改善することが示されていたが、13歳未満のAD患者における有効性および安全性に関するデータは不足していた。British Journal of Dermatology誌オンライン版2023年7月31日号掲載の報告。

米FDAが水いぼの局所治療薬を承認

 米食品医薬品局(FDA)は7月24日、成人および2歳以上の小児における伝染性軟属腫(水いぼ)の局所治療薬としてYcanth(一般名カンタリジン)を承認した。水いぼ治療薬のFDAによる承認は今回が初めて。  Ycanthは、医薬品の製造管理および品質管理の基準(Good Manufacturing Practice;GMP)で管理されたカンタリジン(0.7%)製剤を1回使い切りのアプリケーターにより局所に塗布するもの。GMPとは、原材料の調達から製造、出荷に至るまでの全過程において、製品の「安全性」と「一定の品質」を保つために定められた規則とシステムのこと。投与は医療従事者が行い、投与頻度は3週間ごとに1回である。