循環器内科/心臓血管外科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:164

父親が高齢、早産児や妊娠糖尿病が増大/BMJ

 父親が高齢であることにより、母親の妊娠糖尿病とともに、子供の早産、低出生時体重などが増加することが、米国・スタンフォード大学のYash S. Khandwala氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2018年10月31日号に掲載された。米国では、父親の平均年齢が過去40年間上昇してきた。高齢の母親においては、不妊、妊娠糖尿病、妊娠高血圧腎症、帝王切開による分娩に関して広範囲の調査が行われているが、出生時のアウトカムに及ぼす高齢の父親の影響はほとんど知られていないという。最近の研究では、高齢男性の精子におけるエピジェネティックな変化が、胎盤や胚の発育に悪影響を及ぼす可能性が示唆されている。

心臓血管疾患を合併しない高齢者においてアスピリン投与は死亡率、とくにがん死亡を増やす可能性がある(解説:今井靖氏)-951

心臓血管疾患におけるアスピリンの効果は周知のことであるが、心臓血管疾患を合併しない高齢者におけるアスピリン投与の意義は必ずしも明らかではない。心臓血管疾患を合併しない高齢者におけるアスピリン投与がイベント抑制に寄与するか否か検討した臨床試験(ASPREE)の報告がすでにNEJM誌においてなされているが、その最初の報告においてはアスピリンの投与を行っても認知症および身体障害の複合についてイベント回避効果がないことが示されている。すべての原因による死亡(全死亡)が副次エンドポイントとされていたがアスピリン投与においてはるかに高率であるとの結果であり、それは他の類似した臨床試験に比較してイベント発症が高率であったことなどを含め注視すべき内容である。

合成麻薬は心にも身体にも恐ろしい!(解説:後藤信哉氏)-946

米国は競争社会である。経済格差が深刻化するなかで、絶望的に生きる人が多い国であることは長く住んでみるとわかる。心が病んでいる国では麻薬などの広がりを抑えることが難しい。麻薬中毒症例には合成麻薬としてのカンナビノイドが使用される。各種の重篤な疾病の末期には人工的に多幸感、鎮痛が必要な症例もいるかもしれない。大麻中に含まれるカンナビノイドを合成して医療応用に使おうという方向性は日本にもある。 しかし、本論文はカンナビノイドが心に作用するのみならず、身体にも破滅的副作用を惹起することを示している。ワルファリンはvitamin K依存性の凝固因子の機能的完成を阻害する。強力な抗凝固作用が継続すれば致死となる。その効果を利用したbrodifacoumは殺鼠剤として使用される。このbrodifacoumが合成麻薬に混入して、肝臓における酵素反応の競合を介して重篤な出血イベントを起こすことを本研究は示している。

CV高リスク2型DMへのSGLT2iのCV死・MI・脳卒中はプラセボに非劣性:DECLARE-TIMI58/AHA

 先ごろ改訂された米国糖尿病学会・欧州糖尿病学会ガイドラインにおいてSGLT2阻害薬は、心血管系(CV)疾患既往を有する2型糖尿病(DM)例への第1選択薬の1つとされている。これはEMPA-REG OUTCOME、CANVAS programという2つのランダム化試験に基づく推奨だが、今回、新たなエビデンスが加わった。米国・シカゴで開催された米国心臓協会(AHA)学術集会の10日のLate Breaking Clinical Trialsセッションにて発表された、DECLARE-TIMI 58試験である。SGLT2阻害薬は、CV高リスク2型DM例のCVイベント抑制に関しプラセボに非劣性であり(優越性は認めず)、CV死亡・心不全(HF)入院は有意に抑制した。Stephen D. Wiviott氏(Brigham and Women’s Hospital、米国)が報告した。

益と害を見極めてポリファーマシーを解消させる

 超高齢化社会に伴い多剤併用が問題視されているが、果たして何が原因なのだろうか。2018年11月6日にMSD株式会社が主催する「高齢者の多剤併用(ポリファーマシー)に関する実態と不眠症治療の課題」について、秋下 雅弘氏(東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座教授)と池上 あずさ氏(くわみず病院院長)が登壇し、ポリファーマシーの原因と不眠症治療のあり方について語った。  多剤服用でも、とくに害をなすものをポリファーマシーと呼ぶ。そして、薬物有害事象、アドヒアランス不良など多剤に伴う諸問題だけを指すのではなく、不要な処方、過量・重複投与などあらゆる不適正処方を含む概念に発展している。

死亡への影響が強いのは酷暑か極寒か/BMJ

 中国・復旦大学のRenjie Chen氏らによる同国主要都市272を対象とした時系列研究の結果、中国では外気温と死亡(すべての自然死および主な心肺疾患死)の関連を包括的に描くと非線形の関係性が示され、疾患負荷は主に中程度の寒さに起因していることが明らかにされた。先行研究において、すべての死亡負荷原因は評価されているが、非至適気温に起因する特異的疾患についてはほとんど評価されていない。また、非至適気温と関連する死因の包括的評価は行われていなかった。BMJ誌2018年10月31日号掲載の報告。

突然死予防のためのライフジャケットは有効か?(解説:香坂俊氏)-947

心臓突然死は恐ろしい。その恐ろしさはどう表現すればわかってもらえるかわからないが、たとえば自分の患者さんが突然外来に来なくなり、後日ご家族の方から「突然亡くなりました」と聞かされたときの衝撃は相当なものである。  この突然死を防ぐためさまざまな試みがなされている。ここ10年の最大の進歩といえばAEDが人の集まるところに設置されるようになった、ということではないか。かつて2010年のNEJM誌に、AEDの普及に伴い日本での院外の心肺停止例の予後が改善傾向にあることが示された。

知らずに食べている超悪玉脂肪酸、動脈硬化学会が警鐘

 農林水産省がトランス脂肪酸(TFA)に関する情報を掲載してから早10年。残念なことに、トランス脂肪酸に対する日本の姿勢には進展が見られない。2018年10月31日、動脈硬化学会が主催するプレスセミナー「トランス脂肪酸について」が開催され、丸山 千寿子氏(日本女子大学家政学部食物学科教授)、石田 達郎氏(神戸大学大学院医学研究科特命教授)がTFA摂取によるリスクに警鐘を鳴らした。  TFAと飽和脂肪酸を同量摂取して比較した場合、TFAは飽和脂肪酸と比べ動脈硬化の発症を10倍も増やし、糖尿病の原因となるインスリン抵抗性の悪化などを引き起こす。そのため、TFAは超悪玉脂肪酸とも呼ばれている。にもかかわらず、なぜ、TFAがいまだに食品に使用されているのだろうか。石田、丸山の両氏は「現時点では日本人において、直接その有害性を証明した根拠が少ないため」とコメント。

免疫CP阻害薬、心血管障害スクリーニングの結果/腫瘍循環器学会

 免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の免疫関連有害事象(irAE)としての心血管障害は、報告数は少ないものの、発症すると重篤化する。しかし、真の発生頻度や種類、発生時期については明らかになっていない。国際医療福祉大学三田病院の古川 明日香氏らは、腫瘍循環器学会において、同院の腫瘍循環器外来におけるICI使用時における心血管障害イベントのスクリーニングの意義について発表した。  スクリーニングの検証は、Active Screening Protocolを作成して行われた。このProtocolは、ICI投与開始前に腫瘍循環器外来を予約。ベースライン(投与開始前)、開始後定期的に、血液学的検査(CK、CK-MB、トロポニンI、BNP、D-dimerなど)、心電図、胸部レントゲン、心エコー検査のフォローアップを行うというもの。

潜在性甲状腺機能低下症への対応はいかにあるべきか(解説:吉岡成人氏)-943

血中サイロキシン(T4)あるいは遊離サイロキシン(FT4)値が基準範囲にありながらも、血中TSHのみが基準値上限を超えて高値を示している場合が潜在性甲状腺機能低下症である。潜在性甲状腺機能低下症では、倦怠感などの自覚症状のほかにも、脂質代謝への悪影響、動脈硬化の進展、心機能の低下、妊婦においては流・早産の増加、児の精神発育遅延などがあるため、TSHが10μU/mLを超える場合には甲状腺ホルモンを補充することが多い。65歳以上の高齢潜在性甲状腺機能低下症患者を対象とした無作為化二重盲検プラセボ対照試験では、平均年齢74.4歳の潜在性甲状腺機能低下症患者に甲状腺ホルモンを投与しても、甲状腺機能低下症の症状や甲状腺関連QOLに関した質問票の疲労感のスコアには差を認めないという結論が示されている。