救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:26

COVID-19の急性呼吸不全、CPAP vs.高流量鼻腔酸素/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による急性低酸素性呼吸不全(AHRF)がみられる患者では、従来の酸素療法と比較して、持続的気道陽圧法(CPAP)は気管挿管や死亡のリスクを有意に低減するが、高流量経鼻酸素療法(HFNO)には有意なリスク低減効果は認められないことが、英国・ウォーリック大学のGavin D. Perkins氏らが実施した「RECOVERY-RS試験」で示された。研究の詳細は、JAMA誌オンライン版2022年1月24日号で報告された。

mRNAワクチンの心筋炎リスク、年齢・男女別に2億人を解析/JAMA

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のmRNAワクチン接種後の心筋炎リスクは、男女とも複数の年齢層で上昇し、とくに12~24歳の男性で2回目接種後に高かった。米国疾病予防管理センター(CDC)のMatthew E. Oster氏らが、米国の受動的なワクチン有害事象報告システム(Vaccine Adverse Event Reporting System:VAERS)を基にした解析結果を報告した。著者は、「心筋炎のリスクは、COVID-19ワクチン接種のメリットに照らして検討する必要がある」とまとめている。JAMA誌2022年1月25日号掲載の報告。

塩野義の経口コロナ治療薬、速やかなウイルス減少効果を確認~第II/III相試験

 塩野義製薬は1月31日付のプレスリリースで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中の経口薬(S-217622)について、軽症・中等症および無症候のSARS-CoV-2感染者へ投与した際の、ウイルス力価の変化量を検討した第II/III相試験のデータを発表した。それによると、実薬投与群におけるSARS-CoV-2陽性患者の割合が、3回投与後の時点で、プラセボ群と比べ最大80%減少したことを示したという。  S-217622は、塩野義製薬が北海道大学との共同研究により創製した3CLプロテアーゼ阻害薬。

デルタ株流行期前後の比較では患児のICU入院が多い/成育研・国際医研

 国立成育医療研究センターと国立国際医療研究センターの合同研究チームは、デルタ株流行期における小児新型コロナウイルス感染症(COVID-19)による入院例の疫学的・臨床的な特徴を、デルタ株が流行する以前と比較検討した。今回、その結果を庄司 健介氏(国立成育医療研究センター)らのグループが発表した。  この研究は、2020年10月~2021年5月までをデルタ株以前、2021年8月~10月までをデルタ株流行期とし、それぞれの期間に登録された18歳未満の小児COVID-19入院例1,299人(デルタ株以前:950人、デルタ株流行期:349人)を対象に実施。その結果、デルタ株流行期は、デルタ株以前に比べて患者年齢が低いこと(中央値7歳vs.10歳)、基礎疾患のある患者の割合が高いこと(12.6%vs.7.4%)、集中治療室(ICU)入院を要した患者が多いこと(1.4%vs.0.1%)などが明らかとなった。

COVID-19経口治療薬「モルヌピラビル」の有効性(解説:小金丸博氏)

モルヌピラビルはSARS-CoV-2や他のRNAウイルスに対して活性を有するリボヌクレオシドアナログである。RNA依存性RNAポリメラーゼに作用することによりウイルスRNAの配列に変異を導入し、ウイルスの増殖を阻害する。今回、重症化リスクを有する非重症COVID-19患者に対するモルヌピラビルの有効性と安全性を検討した第III相プラセボ対象ランダム化二重盲検試験の結果がNEJM誌オンライン版に報告された。被験者1,433例を対象とした解析では、プラセボ投与群(699例)の重症化が68例(9.7%)だったのに対し、モルヌピラビル投与群(709例)では48例(6.8%)であった(相対リスク減少率:30%)。死亡者数はプラセボ投与群9例(1.3%)に対してモルヌピラビル投与群では1例(0.1%)であり、モルヌピラビル投与群で少数であった。劇的な効果とはいえないものの、非重症COVID-19に対して一定の重症化予防効果を示した。

新型コロナ、スーパースプレッダーとなりうる人の特徴/東京医科歯科大

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、すべての患者が等しく感染を広げるのではなく、高いウイルスコピー数をもつ特定の患者がとくに感染を広げていくことが知られる。東京医科歯科大学の藤原 武男氏らによるRT-PCR検査によるウイルスコピー数を用いたCOVID-19入院患者の後ろ向き解析の結果、3つ以上の疾患の既往歴および、糖尿病、関節リウマチ、脳卒中の既往がスーパースプレッダーのリスク因子となることが示唆された。Journal of Infection誌オンライン版2021年12月30日号にレターとして掲載の報告より。  2020年3月~2021年6月に、中等症から重症のCOVID-19で東京医科歯科大学病院に入院し、少なくとも1回以上RT-PCR検査が行われた患者が解析対象とされた。入院患者の電子カルテの情報を基に、高血圧・糖尿病・脂質異常症・高尿酸血症・関節リウマチ・がん・慢性腎不全・脳卒中・心疾患・呼吸器疾患・アレルギーといった基礎疾患の有無とウイルスコピー数について関連が調査された。  主な結果は以下の通り。

オミクロン株感染3万例、入院・重症化リスクを解析/Lancet

 南アフリカ共和国・国立感染症研究所(NICD)National Health Laboratory ServiceのNicole Wolter氏らは、国内の4つのデータベースを用いた解析から、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のオミクロン変異株感染者は、同時期に診断された非オミクロン変異株感染者と比較して入院リスクが低いこと、早期のデルタ変異株感染者と比較して重症化リスクが低いこと、この重症化の減少の一部はおそらく過去の感染やワクチン接種による免疫の結果であると考えられることを明らかにした。オミクロン変異株は、2021年11月に同国で確認され、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の増加と関連していた。Lancet誌オンライン版2022年1月19日号掲載の報告。  研究グループは、南アフリカ共和国の次の4つのデータベースから個人レベルのデータを連携し解析した。(1)NICDのNotifiable Medical Conditions Surveillance Systemにリアルタイムに報告されたCOVID-19症例データ、(2)公的検査機関(National Health Laboratory Service)および民間の大規模検査機関1社におけるSARS-CoV-2検査データ、(3)民間および公的診断研究所からNICDに送られた臨床検体、および5つの州の肺炎サーベイランスプログラムを介して収集されたSARS-CoV-2ゲノム解析データ、(4)COVID-19による入院に関する積極的サーベイランスシステム「DATCOV」(南アフリカ共和国の全病院をカバー)のデータ。

軽症でのレムデシビル投与を追記、コロナ診療の手引き6.2版/厚労省

 1月27日、厚生労働省は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 第6.2版」を公開し、全国の自治体に通知を行った。  6.2版の主な改訂点は以下の通り。 ●改訂点 【1 病原体・疫学】 ・オミクロン株について更新 ・国内・海外発生状況を更新 【4 重症度分類とマネジメント】 ・重症度別マネジメントのまとめを更新 ・軽症、中等症Iについて更新  重症化リスクのある患者へのレムデシビル・モルヌピラビル・中和抗体薬投与について追加

非重症コロナ入院患者の心肺支持療法離脱に有用な治療法は?/JAMA

 非重症の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)入院患者の治療において、治療量のヘパリンにP2Y12阻害薬を上乗せしても、ヘパリン単独療法と比較して21日以内の心肺支持療法離脱日数(organ support-free days)は増加しなかった。米国・NYU Grossman School of MedicineのJeffrey S. Berger氏らが、ブラジル、イタリア、スペイン、米国の病院60施設で実施した非盲検並行群間比較ベイズ流適応型無作為化試験「Accelerating COVID-19 Therapeutic Interventions and Vaccines 4 Acute:ACTIV-4a」の結果を報告した。非重症のCOVID-19入院患者に対するヘパリン療法は、マルチプラットフォーム無作為化比較試験で生存日数や心肺支持療法離脱日数を増加することが示されたものの、患者の24%が死亡または集中治療を必要としたことから、この集団における追加治療が検討されていた。JAMA誌2022年1月18日号掲載の報告。

COVID-19治療薬の特徴一覧を追加、薬物治療の考え方12版/日本感染症学会

 日本感染症学会(理事長:四柳 宏氏[東京大学医学部教授])は、1月24日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の治療薬について指針として「COVID-19に対する薬物治療の考え方第12版」をまとめ、同会のホームページで公開した。  今回の改訂では、適用・効果の追加承認がなされたトシリズマブ(商品名:アクテムラ)に関する記載が追加されたほか、他の治療薬の知見を更新し、現在使用できる治療薬4剤の特徴を記した一覧表が附表として追加された。